成人式、卒業式、それから友人の結婚式。
そんな特別な時にしか、袖を通す機会はなかった。
いつかは気楽な街着として着物を着たいなあ、とひそかに憧れていたけれど、身近に着物生活のお手本になりそうな人はいない。
どんな風に「着ること」を始めればいいのか、なにもわからなかったのだ。
重い腰を上げて着付けを習いに行ったのが、4年ほど前。
その直後に、きものサロン凛さんと出会ったことが「着物生活、はじめの一歩」になった。
今では月に何度かは着物で出かけ、旅行にも着物で行くこともある。
今日はスカートにしようか、それともパンツか、と考えるのと同じ選択肢のひとつに着物がある。
そして着ることに慣れるに従って、着物を選ぶ回数も増えるようだ。
今、着物で出かける先は、落語会をはじめとした古典芸能の鑑賞がおもなのだが、毎日の暮らしを着物で通したいとは、じつのところ思っていない。
着物も含めた和の文化と、洋が大半を占める生活のちょうどいい関係を、手探りしつつ徐々に見つけていきたいと思っているところだ。