紬
一般的には先染めの織物が、大きく紬に分類されます。元々紬は、養蚕農家では商品化できない(粗悪品とされる)繭糸を使って織りあげており、百姓や農民やが 普段着として着ていました。
それで、日本各地にその土地土地の紬が織られていました。現在はその伝統技術が高く評価され、結城紬や大島紬などの高級品はもちろん、普段着としてのお洒落着として多くの方達に着られています。
それでは、きものサロン凛がお勧めする紬をご覧下さい。
上田紬
上田紬(うえだつむぎ)は、結城紬や大島紬と並び日本三大紬として江戸時代より好まれてきました。
江戸時代は着物規制が厳しく、庶民が絹織物を着ることはできませんでした。しかし、紬は真綿から紡いだ紬糸で織られた織物のため、生糸ではないと庶民でも着ることを容認され人気になったと言われています。
井原西鶴の「日本永代蔵」にも上田紬に関する記述があり、その知名度の高さがうかがえます。その名を世に知らしめたのは、関ヶ原の合戦で勇名を馳せた「真田幸村・幸村父子」と言われています。上田紬は三裏縞(みうらじま)とも呼ばれ、表地一枚につき裏地を三回取り替えられる程丈夫なことも特徴の一つです。
今では、単衣としてお召頂く事をお勧めします。上田紬は過去の伝統や様式にとらわれず、機能性やデザイン性に創意工夫され発展してきました。他の伝統工芸にない自由さが上田紬の魅力でもあります。
是非、手織でしか表現ができない、柔らかく丈夫な風合いをお試し下さい。
大島紬
大島紬(おおしまつむぎ)の歴史は古く、734年の奈良東大寺の献物帳に記載されており、約1300年の歴史ある日本の伝統工芸品です。糸を織り上げる前に先に染める「先染め」の代表格の絹織物です。
大島紬はフランスのゴブラン織り・ペルシャ絨毯と並び、世界三大織物の一つに数えられています。世界に誇れる日本の伝統工芸品と言えます。大島紬には、産地の業者が自主的に図柄を選び商品とする市場品と、問屋の指定柄を受注生産する誂品とがあります。加納では誂え品を取り扱っており、厳格な製品管理のもとに専属工場で製造しています。
一点一点図案の段階から責任を持ち、完全な商品化を考えて真剣に取り組んで作られてる加納の大島紬は、一品といえども同じ柄が他の問屋から販売されることはありません。しかも、この商品は作り手の心を着る人に感じさせてくれるもので、袖を通した時、何ものにも代えがたい満足感を与えてくれます。
それだけに高度化した消費者ニーズに合った物づくりをめざし、常に厳しい姿勢を崩すことはありません。その他、今までの大島紬とは違う草木染で現代風の、関絹織物ならではの粋な逸品も織元直で展開しています。
結城紬
結城紬(ゆうきつむぎ)は、真綿からとれる手紡ぎの糸を使い、藍や科学染料で染められます。日本全国の紬の中でも、縦糸と横糸両方に手紬の糸を使うのは結城紬のみです。それゆえに、最高峰の絹織物と称されています。
織には平織りと縮織りがありますが、千数百年もの昔から使われているいざり機で織られています。平織りは昭和三一年、糸紡ぎ、絣括り、いざり機による機織りの三製法重要無形文化財に指定されました。結城紬は真綿糸を使用しているため、小麦粉による糊付けをします。この糊が湯通し、洗い張りにより落ち、着続けることで真綿の毛羽がとれ、絹本来の光沢が現れてきます。それはとても美しく、江戸時代には美意識の高い女優や作家に好まれたと言います。そのような技工は世界的にも守るべき貴重な技として、2010年(平成22年)にはユネスコ無形文化遺産にも登録されました。その布地の丈夫さ、染色の堅牢さは高い人気を集め、大島紬と並び着物好きの憧れの織物です。
米沢・十日町紬
米沢紬(よねざわつむぎ)とは、山形県の米沢盆地周辺で産出される紬織物のことをいいます。
紬糸、玉井戸を平織りにする製法で作られており、手触りは柔らかく、ふんわりとしており綺麗な絣模様が染めこまれることが特徴であり、米沢紬の大きな魅力でもあります。また、糸を織り上げる前に紋様を染める先染めの技法で、製作されており、その糸で織り上げることにより、紋様を描き出しています。
琉球紬に似ているので、「米沢琉球紬」を略して米琉(よねりゅう)、長井町辺りが集散地なのに因んで長井紬ともいいます。白鷹紬、白鷹御召とあわせて置賜紬(おきたまつむぎ)ということもあります。
紅花染で有名な新田、草木染野々花工房、十一代白根沢等々本物志向の物づくりをされている織元ばかりです。そして、新潟県十日町の伝統工芸品小地谷紬、魚沼の本塩澤を始め新潟の色々な紬を取り揃えています。
三才山袖
三才山紬(みさやまつむぎ)は信州長野、松本市近郊の三才山で織られる紬織物です。現在は、みさやま紬の伝統を引き継ぎ、お一人でご生産されているのが横山俊一郎氏です。そのため生産量は至極少量で一年で制作される数には限りがあります。
みさやま紬の染めは100%草木染めです。染料は裏山に自生する草木(くるみ・玉ねぎ・漆・栗・上溝桜など)を用いて染色は行われています。糸は経糸には絹の生糸、 緯糸には真綿の紬糸を使用がしようされているため、滑りがよく、しなやかで単衣用の着物としても愛されています。
三才山紬の織りと柄は糸の持つ色を最大限に引き出すため、あくまで控えめとシンプルです。一反一反丁寧に製作された反物は、どれも優しい風合いで光の当たり方により表情を変えます。
信州、三才山(みさやま)の自然に守られた草木を、横山俊一郎氏の手によって、やさしく美しい色に染められた逸品です。