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よくぞ、日本人に

「高い」「自分で着ることができない」「着る機会がない」友人や後輩に「男のきもの」を薦めると、ほとんど同じ答えが返ってくる。
私も本格的に着物を着るまでは、同じようなイメージを持っていた。
確かに「男のきもの」に目覚めても、まず商品が少ない。
あっても、サラリーマンが気軽に手を出せる価格ではない。
しかし、ネットで「凛」さんに出会い、ようやくリーズナブルで、満足できる着物を手に入れることができた。

着付けは文化センターで習い、ムックに付いていたDVDも利用した。
最初は汗だくで1時間近くもかかっていたが、今では、足袋から羽織紐まで約10分。
やはり、「習うより慣れろ」である。

休日には、落語会やまち歩きの会、美術展、食事会など、ほとんど着物で出かける。
他人の視線が気になったのは最初だけ。
自然と姿勢が良くなり、胸を張って歩くのは爽快だ。

なぜ、そこまで着物にこだわるのか。答えは簡単。
「心地いいから」である。
冬には全身をほっこりと包まれ、夏には体を風が通り抜けていく。
四季折々の変化を肌で感じ、「よくぞ、日本人に生まれけり」と実感する。
その開放感は、何物にも代えがたい。
足が短くても、おなかが出ていても、似合うこと請け合いだ。

また、着物を通じて、すてきな女性たちと話が弾むのも、「おじさん」にとっては、うれしい限り。
多くの人たちと知り合い、さらに新たな世界が広がっていく。
「明日は何を着ようか」。
羽織や帯、小物との組み合わせを考え、遠足を前にした小学生のように心躍らせる。
「大人の時間」に、楽しみは尽きない。